もう一度あなたと
昔の趣はそのままに、設備は最先端という文句の付け所がない家だった。大きなサロンの窓ガラスはそのままに、埋め込み式のテレビに、シアター設備、アイランド型のキッチンは広く、コンロもオーブンもそろっている。
「住めるようにしてあったから、大丈夫だろ? 瑠香の部屋も今手配させているから」
一通り家を見て私はハッとする。もしかしたら結婚後ここに住むために、いろいろ進めていたのかもしれない。それがこんなことになって、急遽私たちと住むことにした。
少し考えれば当たり前のことに、気持ちがどんどんと沈んでいく。瑠香は楽しそうに家の中を探検している。
「これだけ広ければ瑠香も楽しいわね」
母は深く考えなかったのか、楽しそうに家を見ている。
「ええ、お義母さんたちもここにいつでも来て、瑠香と遊んでもらえればうれしいです」
日向の言葉に、父も納得したのか何度かうなずいていた。
「あの、日向!」
どんどん話が進んでいってしまい、話の合間に声をかけたが、両親はとりあえず必要なものを運びましょうね。と一度家に戻って行ってしまった。
「瑠香、ママとここで待ってて。パパもじいじたちの手伝いしてくるな」
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