もう一度あなたと
そう思っていたのは私だけだった。それに気が付いたのは、幼馴染という関係ではなく、私がはっきりと日向に恋をしていると感じた十三歳の時だった。
中学生になり、中高一貫の学校に通っていた私の目に飛び込んできたのは、日向とたくさんの友人たちだった。

その中には、大人っぽくてメイクがとても似合う女の先輩も数多くいた。
初めて見る、自分とは違う日向に、なぜか居心地が悪くなる。くるりと踵を返そうとした私を引き留める呼び声。
「彩華」
自分でも初めて感じる嫉妬心。ずっと私のそばにいると思っていたのに、日向の周りにはたくさんの人がいる。その現実を突きつけられた気がした。
「日向、この子? お隣の妹ちゃん」
今でも忘れることができないほど、綺麗な女の先輩の口から発せられた”妹”というセリフ。
「ああ。かわいいだろ」
日向のそのかわいいという言葉が、子供に伝える時のように聞こえてみじめで仕方がなかった。

あの日から、私は日向を避け続けてしまった。淡い恋心と、幼すぎた初恋。
それでもずっと日向は隣にいる。だから、きっといつでも仲直りできる。そう思っていた。

< 6 / 80 >

この作品をシェア

pagetop