もう一度あなたと
「うーん、まだそれでいいっか」
瑠香に見せる笑みは心からに見える。瑠香のために自分の幸せはどうでもいいのだろうか。
「彩華、今は俺のことをまた知るところからでいいから。強引なのはわかってる。俺はずっと彩華が許してくれるまで待つから」
まっすぐに伝えられたその言葉に私は何も言えなくなってしまった。
許す許さないなどそんなことは少しも心にはない。ただ、ただ日向に申し訳なさが募っている。そして、同情だけの愛のない結婚にむなしくて悲しさを感じるだけだ。
そこでハッとする。別に自分がもう日向のことをなんとも思っていないのなら、こんな気持ちにはならないはずだ。
今でもまだやはりずっと私は日向を思っているのだろうか。その事実にキュッと唇を噛んだ。
何も言えなくなってしまった私は、「わかった」それだけを言うと遊ぶ二人を見つめていた。

それから二週間、仕事に行く私たちの代わりに母が保育園に送り迎えをしてくれ、夕方私が実家に行き日向が帰ってきたら家に戻る。そんな生活が続いていた。忙しいはずの日向だが、ほとんど定時に帰ってきて夕食を三人で食べたり、私の両親と食べたりしている。
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