もう一度あなたと
ずっとずっと小さいころから、私は日向を忘れられていない。
一緒に住み始めてから、優しくて頼もしい日向にどんどん惹かれている。
もう否定できない。だからこそ、話をしなければ。日向が本当に愛した人と結婚をするのなら、身を引くのは私の方だ。
神代さんの気持ちを聞くまで、自分の気持ちに素直になれなかった。
今日は日向と話をしよう。そう思うと、私は仕事を終わらすと瑠香の元へと帰った。

「今日もママのご飯美味しいな」
「はーい」
ハンバーグとコンソメスープという子供メニューを嬉しそうに食べながら日向は瑠香に声をかけている。
「よかった。ごめんね。こんな料理で」
「いや、美味しいよ。彩華がこんなに料理がうまいことを知らなかった。いいママだな」
ストレートに褒められ、私は今までのことが無駄じゃなかった気がして、嬉しくなる。
「片づけ悪いな。その間に瑠香を風呂に入れて寝かせつけるから」
「いいよ、私やるよ?」
瑠香を風呂に入れて、寝かしつけてからリビングで仕事を遅くまでやっている日向を毎日見ている。
瑠香を寝かしつけてから話もしたかった私がそう言えば、日向は少し寂しそうな表情を浮かべた。
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