もう一度あなたと
「瑠香と一緒の時間を過ごしたいんだ。いい?」
「それはもちろん助かるけど……」
極力一緒にいなかった時間を埋めるように、日向は私たちに時間を使ってくれている。
「マーマ、おやすみ」
「瑠香、おやすみ」
風呂上がりの瑠香に、お茶を飲ませ日向に抱っこをせがむ瑠香の頬を撫でた。
「じゃあ、行こうか」
そう言うと、二人はリビングを出て行った。
その後ろ姿をため息交じりに見送ると、私は片づけをしつつ日向を待っていた。
三十分ぐらいして日向はリビングに戻ってくると、首を回しながらパソコンを開いた。
いつもなら、このタイミングで私は日向に「瑠香のところに行くね」とリビングを出る。
でも今日は、話をすると決めていた。
「日向、お茶入れる?」
私のその言葉に、驚いたように日向がこちらを見る。
「彩華こそ仕事と家事で疲れてるだろ? 早く休めよ」
皿を持ったまま日向と視線が交わると、日向は私に申し訳なさそうな表情をする。
「日向こそ、毎日家に仕事持ち帰ってるでしょ? 無理してるんじゃない?」
素直に伝えるのがすこし恥ずかしくて、片づけをしながら視線を合わせずに言えば、日向がこちらへと歩いてくるのが分かった。
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