もう一度あなたと
「そんなことない。俺が彩華と瑠香と一緒の時間を過ごしたいから帰ってるだけ。迷惑?」
「迷惑だなんて……」
日向が一緒にいる、それだけで今の私はとても幸せだ。お茶を入れて日向の前に置くと、いきなり手を引かれた。
そして、ギュッと抱きしめられる。久しぶりの日向の温もりが、落ち着いて幸せを感じる。
「今日、神代と何話してた?」
「どうしてそれを……」
あの場面を日向が見ていたことに驚きを隠せない。
「用事があってフロアに行ったんだ。そしたら二人の様子が仕事は違う気がした」
確かに手を握られたりと、雰囲気が違ったのかもしれない。
「彩華、俺のいない間に神代が優しくしていたかもしれない。でも、これからの未来は俺がいるから、俺を選んで」
ギュッと抱きしめられていて日向の表情をうかがい知れない。でも、どういうつもりでこんな言葉を言っているのか、全く分からない。
「日向こそいいの? 大切な人がいるんでしょ。結婚はいいの?」
「は?」
そこで日向は私と距離を取ると、ジッと瞳を見つめる。
「誰がそんなことを言ったんだ。俺はずっと彩華を迎えにいくことだけ考えてたよ」
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