もう一度あなたと
「彩華は何も悪くない。一緒にいられなかった分もこれから瑠香も彩華も守らせて」
「はい」
泣き笑いで伝えれば、日向は私を力いっぱい抱きしめた。
遠回りをしてしまった私たちだけど、これから一緒に幸せな時間を過ごしていく。


※※※
あの気持ちを話してから三カ月後の晴れた日。私たちはホテルの一室にいた。
「瑠香、おじいちゃんのところにおいで」
目じりを下げた日向のお義父様に、日向が冷たい視線を向けている。そんな二人を私は見ていた。
「親父、自分が瑠香を見てるって言ったんだから、頼むよ」
「当たり前だ」
そう言いながら、瑠香を抱き上げてお義父様は部屋を出て行った。
「まったく、あんなの孫バカになるとは思わなかったな」
小さくため息をついて、日向は私に視線を向けた。そして目を細める。
「やばい、本当にきれいだよ」
あの後、日向は三人で初めていったテーマパークでプロポーズをしてくれた。その時の大きなダイヤモンドの指輪は今私の薬指にある。
そして、今日、もう一つの指輪を交換するために、都内の高級ホテルに私たちはいた。
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