もう一度あなたと
河和の跡取りということで、派手な結婚式をしなければいけないと思っていたが、日向はそんな必要はないと親しい人を呼んでの結婚式だ。
日向がこの数年、努力を重ねてくれていたようで、日向の実家にご挨拶に伺えば、否定的なことを言われることなく、私と瑠香を迎えてくれた。そして、お義父様は瑠香を溺愛している。
「日向もよく似合ってるよ」
日向はシルバーのタキシード姿で、モデル体型の彼はとてもよく似合っている。
そして、私はサテンにレースをふんだんに使った美しいAラインのドレスを着ている。贅沢にも河和御用達のドレスサロンでオーダーで作ってもらったものだ。私はレンタルでいいと言ったのに、日向は絶対に作るといってきかなかったのだ。
そのため、自分で言うのもなんだが、ジャストサイズでとてもスタイルがよく見える気がした。
「お時間です」
担当の森さんの声に、日向は私に手を伸ばす。そしてその手を取り私は立ち上がった。
チャペルの前で両親に会えば、母はすでに泣きそうな表情をしている。
「本当によかったね。彩華」
「うん、ありがとう。そしてこれからもよろしくね」
< 71 / 80 >

この作品をシェア

pagetop