もう一度あなたと
てっきり家に帰るために、瑠香も一緒だと思っていたが、その姿はない。
「お義母さんと帰った」
「え?」
その意外なセリフに私は驚いてしまう。
「今日は預かってもらった」
「日向……」
私の方へと歩いてくる日向の熱を孕んだ瞳にドキッとしてしまう。気持ちを通じ合って以来、キスや抱き合ったりすることはあったが、瑠香と三人で眠っていることもあり、私と日向は抱き合っていない。
厳密に言えば、あの過去の一回しかしていないのだ。
結婚式初夜ということを嫌でも意識してしまい、私はキュッと唇を噛んだ。
「嫌?」

少し不安そうに聞く日向をちらっと見上げた。
「そんなわけないでしょ……」
そう言って私は笑った。
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