もう一度あなたと
 父のその言葉に泣きそうになるが、今泣いてしまえばせっかくのメイクが崩れてしまう。
 泣くのを耐えつつステンドグラスが美しい祭壇の前に立つ日向に一歩ずつ近づく。もう少しで日向のところへ着く。
 そう思った時だった。
「マーマ。パーパ」
 トコトコと走ってくる瑠香を、お義父様が追いかけている。
「瑠香、おいで」
 そんな瑠香をみて、日向がしゃがみこんで瑠香を呼び抱き上げる。
「ルカもいっしょ」
 拗ねたように言った瑠香に、私たちは顔を見合わせる。
「うん、一緒ね」
 その光景に拍手と歓声が溢れる。こんな風に祝福してもらえて私たちは幸せだ。
「これからももっと幸せになろうな」
 大好きな日向の言葉に、私は満面の笑みで頷いた。
 食事会も和やかに終わり、久しぶりに春子おばあ様にもあえて幸せな一日だった。

 ドレスを脱いで、来た時に着ていたワンピースに着替えているとドアがノックされた。
「彩華、入るよ」
 日向の声に、イヤリングを外しながら私は振り返った。彼も少しラフな格好だ。
「瑠香は?」
 てっきり家に帰るために、瑠香も一緒だと思っていたがその姿はない。
「お義母さん達と帰った」
「え?」
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