離婚前提の妻でも溺愛されています
「それは恭太郞も一緒です。いや、恭太郞の方が笹原と一緒にいると楽しそうで、正直見せつけられてうんざり……いや、まあ、俺も和ませてもらってます」
桐生は慌てて言い直しながらもやはり豚汁が気になるのか「いただきます」と里穂に軽く視線を向け口に運んだ。
「……うまい」
ひと口食べてすぐ、桐生はかみしめるようにつぶやいた。
口に合ったようでホッとし、里穂は胸を撫で下ろした。
店に入って来た時には固く疲れているように見えた表情も、今は力が抜け和らいでいる。
「おかわりもありますので、声をかけてください。ごゆっくり」
里穂は満足そうに箸を進める桐生に声をかけ、調理場へと戻る。
すると入れ替わりに恭太郞が大皿を手に桐生の元へと向かった。
「さあ、この絶品の金目鯛を口にできる幸せを、じっくりかみしめるがいい」
恭太郞の芝居じみた大きな身振りと声。
桐生は呆れ顔を恭太郞に向けた後、早速口に運んだ。
その瞬間、桐生は目を細め優しい笑みを浮かべた。
そして、傍らでは恭太郞が桐生の笑顔を眺めながらガッツポーズをしている。
話に聞いていたとおりのふたりの仲のよさが垣間見えて、里穂の気持ちもほころんだ。
「今日は突然ごめんね」
閉店後、翌日の仕込みを終えて二階に上がった里穂に、雫がお茶を淹れながら声をかけてきた。
「今日? なんのこと?」
桐生は慌てて言い直しながらもやはり豚汁が気になるのか「いただきます」と里穂に軽く視線を向け口に運んだ。
「……うまい」
ひと口食べてすぐ、桐生はかみしめるようにつぶやいた。
口に合ったようでホッとし、里穂は胸を撫で下ろした。
店に入って来た時には固く疲れているように見えた表情も、今は力が抜け和らいでいる。
「おかわりもありますので、声をかけてください。ごゆっくり」
里穂は満足そうに箸を進める桐生に声をかけ、調理場へと戻る。
すると入れ替わりに恭太郞が大皿を手に桐生の元へと向かった。
「さあ、この絶品の金目鯛を口にできる幸せを、じっくりかみしめるがいい」
恭太郞の芝居じみた大きな身振りと声。
桐生は呆れ顔を恭太郞に向けた後、早速口に運んだ。
その瞬間、桐生は目を細め優しい笑みを浮かべた。
そして、傍らでは恭太郞が桐生の笑顔を眺めながらガッツポーズをしている。
話に聞いていたとおりのふたりの仲のよさが垣間見えて、里穂の気持ちもほころんだ。
「今日は突然ごめんね」
閉店後、翌日の仕込みを終えて二階に上がった里穂に、雫がお茶を淹れながら声をかけてきた。
「今日? なんのこと?」