俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
いつまでこの指輪が左手にあるのかどうかわからないが、せめてその間は蒼真の妻として力を尽くそう。

里穂は改めてその思いを強くした。

   




翌日の日曜日、朝食を済ませた里穂が自室でピアノを弾いていると、佳也子からメッセージが届いた。

【昨日、はしゃぎすぎて足が疲れちゃったの。残念だけど、今日の講習会はお休みするわ。杏さんにも連絡しておくわね】

毎回メイクを教わるのはもちろん杏や友達に会うのを楽しみにしている佳也子が欠席するのは珍しい。

昨日の町内会の日帰り旅行で無理をしたのかもしれない。

よほど足の具合が悪いのかと気になり雫にメッセージを送って尋ねてみると。

【確かに足は疲れてるみたいだけど、それより二日酔いで頭が痛いんだって。昨日、戻ってきてから重さんのお店で大宴会。ちなみに恭太郞も飲みすぎでぶっ倒れてるよ】

「本当に倒れてる」

続けて送られてきた写真には、ソファに倒れ込んでいる恭太郞が映っている。苦しそうに顔を歪め、すがるようにクッションを抱きしめている。

「二日酔いって、どれだけ飲んだんだろ」

アルコールに弱い恭太郞ならわかるが、いくらでもいける佳也子が二日酔いになることは滅多にない。

「里穂、そろそろ出られるか?」

ノックの音とともに聞こえて来た声に振り向くと、開いていたドアから蒼真が顔を覗かせていた。

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