俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
「そうです。今、練習していて」

それは子どもたちに人気のアニメソングを集めた楽譜集で、花音から里穂に弾いてほしいとお願いされた曲も含まれている。

「結構練習していたみたいだな」

「そうなんです。かなりの人気みたいで、間違えると気づかれそうなので。久しぶりに気合い入れました」

難易度的には難しくない曲だが、音符ひとつ間違えただけで花音にがっかりされそうなので、丁寧に練習していたのだ。

ピアノだけじゃなくて子どものことも引き受けてくれている。里穂はうちの戦力だ。付き添いなんて遠慮せずに堂々と顔を出せばいい」

蒼真の優しさがじわじわと胸に広がっていく。

戦力とは恐れ多いが杏たちメディカルメイクのスタッフの役に立っているなら光栄だ。

蒼真は里穂に楽譜を手渡した。

「アニメソングメドレー? 花音ちゃんに喜んでもらえるといいな」

「頑張ります」

蒼真に背中を押され、里穂は気持ちを新たに楽譜を胸に抱きしめた。





カフェに足を踏み入れてすぐ、里穂に気づいた花音が駆け寄ってきた。

「花音、ピアノのおけいこしてるの。先生にもほめられた」

ぴょんぴょん飛びはね誇らしげに話している花音はとてもうれしそうだ。

あれからピアノを習い始めたのだろうか。

里穂もピアノを習い始めたころはうれしくて毎日時間があれば練習していた。

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