離婚前提の妻でも溺愛されています
小籠包に続く桐生家の台湾料理第二弾。

蒼真も気にいってくれるとうれしい。

「わー、おいしそう。お店の魯肉飯みたい」

盛り付けた魯肉飯に雫は目を輝かせている。

「部長には悪いけど、お姉ちゃんの新メニュー一番乗り」

雫は自ら半熟卵を丼に乗せて仕上げると、いそいそとカウンターに戻って行く。

「いただきまーす」

よほどお腹がすいているのか勢いよく食べ始めた。

「すっごくおいしい。これなら部長も何杯でも食べると思うよ。でも私の方が先に食べたって、明日自慢しよう。絶対に悔しがりそう」

「悔しがるって、大袈裟」

里穂はクスリと笑う。

「全然大袈裟じゃないと思うんだけど。言い忘れてたけど、今会社で盛り上がってるセリフを教えてあげる」

「なに?」

里穂はきょとんとする。

いきなり話題が変わって、ついていけない。

雫は手にしていた蓮華を置くと、思わせぶりな表情を浮かべ口を開いた。

「〝俺が愛する女性を侮辱しないで下さい〟」

聞きおぼえのある言葉に、里穂は動きを止めた。

「きゃーっ。部長っていったいなに言ってるんだろ。私の方が照れる」

カウンターを何度も叩き、里穂は「照れる照れる」と言いながら顔を赤らめている。

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