離婚前提の妻でも溺愛されています
調子に乗っているという説明に、納得する。

大学時代も今も、恭太郞に変化はないようだ。

それにしても、と里穂はつくづく思う。

大学時代の蒼真も今と変わらずカッコいい。

白いシャツにジーンズという飾り気のないあっさりとした服装だというのに、長身で手足が長くスタイル抜群、端整な顔も群を抜いて目立っている。

「同じ学部の人かなにかですか?」

「いや、みんなバラバラ。学祭の実行委員だったんだ。学祭が終わっても定期的に飲んだりしていて卒業前に台湾に行ったんだ」

「いいですね、卒業旅行」

里穂も友人たちと計画していたが、卒業の二カ月前に父親が亡くなり旅行どころではなくなり、行けなかった。

「それと、彼女」

蒼真は恭太郞の隣で大笑いしている女性を指差した。

マキシ丈のノースリーブのワンピースがよく似合う、ショートカットの綺麗な女性だ。

「彼女が沙耶香」

「えっ……」

里穂は息をのんだ。

「沙耶香は同じ大学の同級生で、たまたまふたりともこの年の実行委員を引き受けたんだ」

里穂は改めて写真に映る沙耶香の顔を見つめた。

よく見ると、肌は小麦色でショートカットの髪色は金髪に近い。顔もノーメイクようだ。

それでも顔をくしゃくしゃにして笑う彼女の顔は輝いていて、とても魅力的だ。

「アクティブなイメージの人ですね」 

蒼真は軽くうなずいた。

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