離婚前提の妻でも溺愛されています
蒼真から与えられる刺激にいよいよ耐えきれず、そして初めて知る快感に身体は限界を迎えたのか、満足そうな蒼真の顔を見たあとのことが思い出せない。

意識を飛ばしてしまったのだ。

ただ、蒼真が発する声にも負けないほどの甲高い声をあげてしまったことは、しっかりと頭に残っている。

「どうしよう」
 
思い出すことすべてが恥ずかしすぎて、蒼真の顔を見られそうにない。

いっそここから逃げ出したい。

里穂はたまらず蒼真から離れ背を向けると、両手で顔を覆い、身体を小さく丸めた。

「里穂?」

里穂が腕から抜け出した反動で目が覚めたのか、背中に蒼真の声が聞こえた。

里穂はピクリと身体を揺らし、意味がないとわかっていてもさらに身体を丸くする。

「大丈夫か?」
 
少し寝ぼけている声が聞こえたと同時に蒼真の手が伸びてきて、気づけば再び蒼真の腕の中に戻されていた。
 
慌てて両手で隠したままの顔を蒼真の胸に押し当てた。やはり恥ずかしすぎて顔を合わせられない。

「どうした? 里穂?」

探るような声とともにあっさり蒼真の胸から遠ざけられ、顔を隠していた手も簡単に剥がされた。

「抑えが効かなかったな」

里穂は首を横に振る。

「大丈夫です」
 
昨夜あれだけ声をあげれば仕方がないが、目を泳がせつぶやいた声は少し掠れていた。

「やだ」
 
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