俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
「お姉ちゃん、せっかくだからジェットバスってどうかな」

「ジェットバス?」

 
雫に呼びかけられ、里穂は沈みかけていた気持ちに慌てて蓋をする。

「気持ち良さそうじゃない?」

「さすがにそれは、贅沢だと思うわよ」

費用は気にしないでいいと言われていても、そういうわけにもいかない。

「だよね。やっぱりテレビとオーディオで手を打つ……じゃないね、ありがたく採用させてもらうことにする」

「だったら次はキッチンね。実は私、前から白いキッチンに憧れてるの。どうかしら」

「いいんじゃない? 賛成」

きゃっきゃと声をあげ盛り上がるふたりの幸せそうな笑顔を眺めながら、里穂は蒼真の気遣いと優しさに心から感謝した。
 
そして蒼真と結婚した理由を改めて思い返す。
 
そこに蒼真との愛情のやり取りは含まれていない。
 
里穂はともすれば頭に浮かんでくる蒼真の笑顔を脇におしやりながら、そのことを何度も心の中で繰り返した。
 
 




その後いくつか商品をピックアップし見積もりを出してもらったあと、ショールームを出た。
 
店は休業中で時間はあるので、三人で久しぶりにカフェに入り、おいしいコーヒーでも飲もうということになった。

「いつものシュークリームもおいしいけれど、このチーズケーキも負けてないわね。ニューヨークチーズケーキって、初めていただくわ」

< 185 / 222 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop