離婚前提の妻でも溺愛されています
「そんなことありません。杏さんは会社のために、それに母さんみたいな人のためにずっと頑張っていて」
それまでじりじりと後ずさっていた距離を一気に詰め、里穂は語気を強めた。
杏華堂の社長夫人がどれほどの重責を担っているか、麗美は知らないのだろうか。
杏はメディカルメイクの普及のために力を尽くす一方で、社長とともに社交の場に出て走り回っている。
片手間にはできない重要な立場だ。
それを軽々しく一生楽しく暮らせるなどと言ってほしくない。
「とにかく、杏さんをバカにするようなことは言わないで下さい。あなたに杏華堂の社長夫人は務まらないと思います」
ここは冷静にならなければと思いつつも、杏の苦労や努力を知っているだけに我慢できず、つい言い返してしまった。
「へえ。そういうことを言えちゃうんだ。調べたけど、あなた蒼真さんのお金で店を改装するみたいね」
「それは」
そこまで調べていることに、里穂は麗美の本気を感じた。本気で蒼真と結婚したいのだ。
「おとなしい顔しておねだり上手なのはいいけど、結局それは手切れ金になりそうね。笑っちゃうわ」
「手切れ金なんて、いりません」
「ふん。どうでもいいけど、とっとと蒼真さんと別れてよ。姉に仕返しできる絶好のチャンスを邪魔しないで」
「仕返しっていったい」
それまでじりじりと後ずさっていた距離を一気に詰め、里穂は語気を強めた。
杏華堂の社長夫人がどれほどの重責を担っているか、麗美は知らないのだろうか。
杏はメディカルメイクの普及のために力を尽くす一方で、社長とともに社交の場に出て走り回っている。
片手間にはできない重要な立場だ。
それを軽々しく一生楽しく暮らせるなどと言ってほしくない。
「とにかく、杏さんをバカにするようなことは言わないで下さい。あなたに杏華堂の社長夫人は務まらないと思います」
ここは冷静にならなければと思いつつも、杏の苦労や努力を知っているだけに我慢できず、つい言い返してしまった。
「へえ。そういうことを言えちゃうんだ。調べたけど、あなた蒼真さんのお金で店を改装するみたいね」
「それは」
そこまで調べていることに、里穂は麗美の本気を感じた。本気で蒼真と結婚したいのだ。
「おとなしい顔しておねだり上手なのはいいけど、結局それは手切れ金になりそうね。笑っちゃうわ」
「手切れ金なんて、いりません」
「ふん。どうでもいいけど、とっとと蒼真さんと別れてよ。姉に仕返しできる絶好のチャンスを邪魔しないで」
「仕返しっていったい」