離婚前提の妻でも溺愛されています
テロで被害にあった人自身はもちろん、家族のためにも命が助かりますようにと、里穂は祈った。
「なにか作ろう」
なにも考えず料理に集中して気持ちを落ち着けて、頭の中をスッキリさせたい。
今日は遅くならないと言っていた蒼真の言葉を思い出し、里穂はそれに縋るような気持ちでエプロンを身につけた。
そして無心につくりあげた料理をテーブルいっぱいに並べ終えた時。
スマホが音を立て、メッセージの着信を告げた。
【トラブルで今日は帰れそうにないんだ。また連絡する。戸締まりに気をつけて】
「トラブルってなに?」
責めるような強い声がリビングに響いた。
蒼真は今もホテルで沙耶香と過ごしているのかもしれない。きっとそうだ。
張りつめていた糸が切れたように、里穂の身体から力が抜けていく。
里穂はラグの上にくずおれ、手にしていたスマホをローテーブルの上に無造作に放り出した。
そしてその晩、蒼真は帰ってこなかった。
「なにか作ろう」
なにも考えず料理に集中して気持ちを落ち着けて、頭の中をスッキリさせたい。
今日は遅くならないと言っていた蒼真の言葉を思い出し、里穂はそれに縋るような気持ちでエプロンを身につけた。
そして無心につくりあげた料理をテーブルいっぱいに並べ終えた時。
スマホが音を立て、メッセージの着信を告げた。
【トラブルで今日は帰れそうにないんだ。また連絡する。戸締まりに気をつけて】
「トラブルってなに?」
責めるような強い声がリビングに響いた。
蒼真は今もホテルで沙耶香と過ごしているのかもしれない。きっとそうだ。
張りつめていた糸が切れたように、里穂の身体から力が抜けていく。
里穂はラグの上にくずおれ、手にしていたスマホをローテーブルの上に無造作に放り出した。
そしてその晩、蒼真は帰ってこなかった。