離婚前提の妻でも溺愛されています
里穂は息を飲み込んだ。
「昨日、会社から連絡があって。その時は生きているのかどうか、状況がなにもわからなくて動転してしまって、杏おばさまに連絡したんです。両親に勘当されているので他に頼れる人が思い浮かばなくて」
「沙耶香ちゃんが連絡をくれた時、私北海道にいたの。だから蒼真に電話してすぐに沙耶香ちゃんのところに行くように言って、ホテルまで送らせたのよ。私もすぐにこっちに戻って来て、沙耶香ちゃんが泊まってるホテルに駆けつけたのよ。昨日ほど飛行機がのろまだって思ったことなかったわ」
「あの」
ふたりの話に耳を傾けていた里穂が、ハッと声をあげる。
「旦那様は大丈夫なんですか?」
「はい。おかげさまで大丈夫です。さっき本人から電話があって、話せました。逃げる時に足を捻挫した程度で大丈夫だと……」
沙耶香はそう言って、目尻から次々と流れ落ちる涙を手の甲で乱暴に拭う。
笑顔を見せているが、肩は小刻みに揺れたまま。
よほど夫のことを心配していて、無事がわかった今もまだ、緊張が完全に解けていないのかもしれない。
「よかった」
無事だと聞いて里穂もホッとした。
「昨日、桐生君には助けられました」
思い返すように、沙耶香が口を開いた。
「昨日、会社から連絡があって。その時は生きているのかどうか、状況がなにもわからなくて動転してしまって、杏おばさまに連絡したんです。両親に勘当されているので他に頼れる人が思い浮かばなくて」
「沙耶香ちゃんが連絡をくれた時、私北海道にいたの。だから蒼真に電話してすぐに沙耶香ちゃんのところに行くように言って、ホテルまで送らせたのよ。私もすぐにこっちに戻って来て、沙耶香ちゃんが泊まってるホテルに駆けつけたのよ。昨日ほど飛行機がのろまだって思ったことなかったわ」
「あの」
ふたりの話に耳を傾けていた里穂が、ハッと声をあげる。
「旦那様は大丈夫なんですか?」
「はい。おかげさまで大丈夫です。さっき本人から電話があって、話せました。逃げる時に足を捻挫した程度で大丈夫だと……」
沙耶香はそう言って、目尻から次々と流れ落ちる涙を手の甲で乱暴に拭う。
笑顔を見せているが、肩は小刻みに揺れたまま。
よほど夫のことを心配していて、無事がわかった今もまだ、緊張が完全に解けていないのかもしれない。
「よかった」
無事だと聞いて里穂もホッとした。
「昨日、桐生君には助けられました」
思い返すように、沙耶香が口を開いた。