俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
桐生の端整な顔が間近に迫り、里穂は居心地の悪さを感じた。
見るからに上質だとわかる紺色のスーツがしっくり似合っていて、立ち姿は凜々しく自信が感じられる。
普段、店で見る桐生とはどこか雰囲気が違う。
「どうかしましたか?」
ぼんやり見上げる里穂の顔を、桐生が訝かしげに覗き込んだ。
「いえ、なんでもないんです」
こうして向かい合うと、いっそう桐生が別人のように思える。
どうしてだろう。
うつむいた視線の先には、丁寧に手入れされているとわかる革靴。
おまけに桐生の手には、片隅にハイブランドのロゴが添えられた黒革のビジネスバッグだ。
どこをどう切り取っても隙のない身なり。
彼が知らない人のように思える。
「あの。桐生さんは……今から出張かなにかですか?」
しっくりこないものを感じつつ、里穂は問いかけた。
「午後から同業者の交流会があるんです」
「そういえば雫が桐生さんが出張続きで疲れていると心配していました。体調は大丈夫ですか?」
よく見ると顎のラインがシャープになっている。
少し痩せたのかもしれない。
「体調は大丈夫です。ただここしばらくささはらにも行けていないので、そろそろ里穂さんの豚汁が食べたくて仕方がないんですよね」
桐生はそう言って、大袈裟にため息を吐いた。
「豚汁なら毎日用意していますので、いつでもいらして下さい」
見るからに上質だとわかる紺色のスーツがしっくり似合っていて、立ち姿は凜々しく自信が感じられる。
普段、店で見る桐生とはどこか雰囲気が違う。
「どうかしましたか?」
ぼんやり見上げる里穂の顔を、桐生が訝かしげに覗き込んだ。
「いえ、なんでもないんです」
こうして向かい合うと、いっそう桐生が別人のように思える。
どうしてだろう。
うつむいた視線の先には、丁寧に手入れされているとわかる革靴。
おまけに桐生の手には、片隅にハイブランドのロゴが添えられた黒革のビジネスバッグだ。
どこをどう切り取っても隙のない身なり。
彼が知らない人のように思える。
「あの。桐生さんは……今から出張かなにかですか?」
しっくりこないものを感じつつ、里穂は問いかけた。
「午後から同業者の交流会があるんです」
「そういえば雫が桐生さんが出張続きで疲れていると心配していました。体調は大丈夫ですか?」
よく見ると顎のラインがシャープになっている。
少し痩せたのかもしれない。
「体調は大丈夫です。ただここしばらくささはらにも行けていないので、そろそろ里穂さんの豚汁が食べたくて仕方がないんですよね」
桐生はそう言って、大袈裟にため息を吐いた。
「豚汁なら毎日用意していますので、いつでもいらして下さい」