離婚前提の妻でも溺愛されています

佳也子の中で恭太郞はとっくに家族の一員で、傷痕を見られるくらい大したことではないのだ。

「そうだ、今日のお店に今度四人で行かない？　恭太郞君が好きな春巻きもおいしかったわよ。なんならお店を一日くらいお休みしてもいいじゃない。たまには家族そろって出かけましょうよ」

佳也子の言葉に、雫と恭太郞が顔を見合わせ、はにかんでいる。

家族という言葉が照れくさく、そしてうれしそうだ。

「うん、いいね、家族で町中華。楽しみ」

なんのためらいもなく里穂の口を突いて出た家族という言葉。

里穂の中でも恭太郞はもう、家族の一員なのだ。

「麻婆豆腐もおいしかったわよ」

早速タブレットで店のホームページをチェックしている三人の幸せそうな笑顔。

ずっと見ていたくなる。

里穂はその笑顔を守るために、蒼真と結婚しようと決めた。