離婚前提の妻でも溺愛されています
蒼真は軽い口調でそう言って里穂の隣に腰を下ろした。

「そ、そうですね」

途端にいっそう顔を赤くし目を泳がせた里穂を眺めながら、蒼真はは心の中で後者だったなと苦笑する。

空になったグラスを握りしめる里穂が、いじらしく見える。

「ゆっくり、気楽にやっていこう」

里穂に向かってそう口にしながらも、実はそれは、蒼真自身に向けた言葉だ。

「ですね。そのうち見られますよね」

「もちろん」

蒼真はうなずいた。

期待が滲んだ眼差しを向けられて、蒼真は彼女がここで幸せな毎日を送れるように心を配っていこうと、改めて決意した。



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