カルテとコーヒー


"体調大丈夫か?"

突然だ。

だが、思い返せば、いつもこの時期は
秀頼からこの連絡が届く。

最近は気温がぐっと下がりだした。
特に夜は厚めの上着がないと冷えてしまうくらいだ。

寒冷刺激は、喘息が悪化しやすい。

秀頼は主治医として、患者の優子を
心配してくれていた。


「やさし…」


ぼそっと呟いた言葉は、
しっかり南に拾われていた。


『おや~?
 返信来たの?』

「うん。体調大丈夫かって」

『いや、医者かい』

「ふふ、医者だよ」


こういう優しいところが、
好きなんだよなぁとしみじみ。

なんて返そうかと迷っていると、
続けて更に通知が鳴った。

"喘息患者は重症化しやすいから
感染にも気を付けるように"


「いや、医者かい」

『ん?ゆっちゃんどうした?』


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