カルテとコーヒー


その日の夜、早速南から連絡があった。

『今週末、早速合コンセッティングしたよ!』


「はやっ」


親指を立てたうさぎのスタンプが
ドヤ顔でこちらを向いている。


『合コンって、誰と?』

『それは当日お楽しみよ』

『女子も?』

『ううん、とりあえず2:2にしたー』

『え、大丈夫?それ』

『今回はご飯だけだし、
 お酒飲まないから大丈夫じゃないかな』


正直、南の大丈夫は信用ならない。

以前にも危ない男に
ひっかかりそうになったところを
優子がなんとか説得して止めたことがある。


南は大手不動産会社の娘で、
正真正銘のお嬢様だった。

年は優子の一つ下で、
(優子は一年間ドイツ留学していた)
金持ちというだけに友達がなかなか
できなかったところ、
たまたま声をかけた優子に懐いてきたのだ。

優子と知り合ってからは
友達もそこそこに増え、
男遊びもそれなりに覚えたらしかった。


言ってしまえば、
南は優子以上に、経験豊富だった。

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