カルテとコーヒー
咄嗟に表情が曇ったかと思えば、
みるみるうちに青ざめ、
しまいには泣き出しそうな顔になった。
『すまない、思い出したくないことだったか…』
『いえ…あの…』
この反応でも大方予想はついたが、
『どうしたんですか…?』
偶然通りかかった彼女の同期が
事情を簡単に説明してくれた。
優しく彼女を宥めつつも、
あの険しい表情はこの病院でも
なかなか見ることができないものだった。
『とっくに退学になってもおかしくない
最低なやつですよ、中沢は!』
それだけでも十分すぎるぐらいだったが、
必死に涙を堪えながらも
彼女が最後に呟いた言葉が
すべてを物語っていたように思える。
『殺してやりたい…!』