クラスの女子に対して好意を抱いてたが、告白する勇気がなくて困っていたら、友達になる? と言われたのですが。

 そこでなぜ彼女がこう提案したのか理由を考察してみると、一つ目、俺のことが好きだから。この説が本当だったらうれしいが、俺のことが気になる可能性はゼロに等しいと思う。それぐらい俺は地味で面白くない奴なのだ。顔も普通だし。

 二つ目、俺のことを憐れんでいるから。こっちのほうが可能性が高い。彼女はもともと仲間外れを作るのが嫌いなタイプの人間である。ならばその可能性が高いと考えるのが普通である。しかし俺にとってはそれでもいいのだ、彼女としゃべれるというその事実だけで幸せだ。友達が霜月さんならば、どんな友達だっていい。

「じゃあ、ぜひお願いします」
「わかった、じゃあもうすこしお話しよ」

 俺には彼女の真意がわからない。俺を試しているのか? しかし、今は何も考えずに話そう。そう、決めた。

「ねえ、有村くんの家って学校から近いの?」
「はい、近いです」

 家の話になった。俺自身を嫌になる。「近いです」とかそういう一つ返事だったら会話が続かないと、よくなんかの専門家が書いてるのだが。俺にはそれ以外の返事ができない。もしそれが出来ていたら苦労などしないし、俺の周りには親友が溢れているだろう。まあ、それ以前に俺には勇気がなく、魅力がないことも知っているが。
< 4 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop