カタカナは嘘
告白
サヤカがいなくなってから机のキズが増えることはなくなった。
しかし、思えばあの時から私はサヤカのことを憎んでいた。
岩谷くんにラブレターをもらった時、なぜかサヤカがついてきてひっかきまわしたのだ。
気が付いたら岩谷くんとサヤカは付き合っていて、気が付いたら別れていて、気が付いたら私はサヤカの親友になっていた。
は? なんで?
それからもサヤカに振り回されっぱなし、あげくにタクマくんと出会ったことでサヤカにまたもや嫉妬された。
まさか花瓶を落としてくるとは、あの時は心底こわかったけど、おかげで踏ん切りがついた。
サヤカをとことんまで追い詰めて破滅させようと思えた。
だから、サヤカに恨みを持ってそうな先輩たちに偽の手紙を書いておびき出した。
あそこまでうまくいくとは思ってなかったけど、あの時のサヤカの顔は本当に見ものだった。
「カホ、そういえばあれって誰のことだったの」
「ん、何のこと?」
「保健室で、寝てる時、寝言で許さないって言ってたって話したろ?」
「あー……」
「誰か、恨んでるやついたのか?」
「いなくなったから、大丈夫。もう忘れて」