ラグビー部夏合宿
Ⅰ.不思議な朝
田村煌太が目を覚ますと、そこはいつもとは違う場所だった。
ここはどこだ?寝ぼけた頭で考えながら上半身を起こしてあたりを見回す。
部屋は何畳あるかわからないほど広く、天井もやたら高い。
柔道場?
そう、そこは柔道の授業で使用している柔道場だった。
ようやく煌太は思い出した。彼は今、夏休みを利用したラグビー部の合宿中だったのだ。
彼は高校2年生。
県下で指折りの進学校へ入学した彼は、ワールドカップを見て好きになったラグビー部へと迷わず入部した。
すると、ラグビー部監督の島田は煌太の俊足を買い、1年生からレギュラーに抜擢した。
ポジションはウイングだ。
楽しかったラグビー部の生活も終わりに近づいている。
進学校の定めで、2年の夏のインターハイの県予選で引退するのが決まりだからだ。
合宿といってそれ専用の施設ではない。
普段の授業でも使う柔道場に寝泊まりし、普段の体育の授業で使うグランドを使って練習するだけだ。
5泊6日の合宿の最終日、6日目の朝である。
煌太は体を起こしてあたりを見回す。
1年生と2年生を合わせて全部で20人の部員が、柔道場の敷布団の上で雑魚寝している。
3年生はいない。進学校だから3年になると引退するのが決まりだ。
それにしても、みんな好き勝手な姿で寝転がっているなと、煌太は思った。
敷布団から体が半分はみ出しているものもいるし、掛け布団が足元に丸まっているものもいる。
さらには、体が180度回転して、足が枕の方を向いているものさえいた。
ふと、すぐ隣に寝ている同級生でフッカーの岡野拓也の辺りから妙な臭いがするのに気づいた。
煌太は拓也の体全体を眺める。
彼は例外的にきちんと掛け布団をかけ、枕に頭を乗せ眠っていた。
しかし、臭いの元は間違いなく彼である。
煌太は起きて近づいてみた。
その臭いは彼の下半身辺りから発生している。
煌太にも覚えがある匂いだ。
『何の匂いだっけ?』と煌太が寝ぼけた頭で考えていると、
他の部員も次々と起きだしてきた。
みんな、口々に「臭いな」と言いながら、拓也の周りに集まってきた。
そして、煌太を含めた全員が、その匂いの正体に気付いていた。
彼らは口にこそ出さなかったが、内心でこう叫んでいた。
『こいつ、夢精したな』
やがて、岡野拓也は目を覚ました。
彼は最初、自分の周りに人が集まっていることを不思議に思っていた。
しかし、しばしの時を経ると、匂いと下半身の感触により、彼自身も自分の身に起きたことを理解した。
拓也が起き上がり、脱兎のごとくトイレに駆け込むと、辺りは大爆笑に包まれた。
ここはどこだ?寝ぼけた頭で考えながら上半身を起こしてあたりを見回す。
部屋は何畳あるかわからないほど広く、天井もやたら高い。
柔道場?
そう、そこは柔道の授業で使用している柔道場だった。
ようやく煌太は思い出した。彼は今、夏休みを利用したラグビー部の合宿中だったのだ。
彼は高校2年生。
県下で指折りの進学校へ入学した彼は、ワールドカップを見て好きになったラグビー部へと迷わず入部した。
すると、ラグビー部監督の島田は煌太の俊足を買い、1年生からレギュラーに抜擢した。
ポジションはウイングだ。
楽しかったラグビー部の生活も終わりに近づいている。
進学校の定めで、2年の夏のインターハイの県予選で引退するのが決まりだからだ。
合宿といってそれ専用の施設ではない。
普段の授業でも使う柔道場に寝泊まりし、普段の体育の授業で使うグランドを使って練習するだけだ。
5泊6日の合宿の最終日、6日目の朝である。
煌太は体を起こしてあたりを見回す。
1年生と2年生を合わせて全部で20人の部員が、柔道場の敷布団の上で雑魚寝している。
3年生はいない。進学校だから3年になると引退するのが決まりだ。
それにしても、みんな好き勝手な姿で寝転がっているなと、煌太は思った。
敷布団から体が半分はみ出しているものもいるし、掛け布団が足元に丸まっているものもいる。
さらには、体が180度回転して、足が枕の方を向いているものさえいた。
ふと、すぐ隣に寝ている同級生でフッカーの岡野拓也の辺りから妙な臭いがするのに気づいた。
煌太は拓也の体全体を眺める。
彼は例外的にきちんと掛け布団をかけ、枕に頭を乗せ眠っていた。
しかし、臭いの元は間違いなく彼である。
煌太は起きて近づいてみた。
その臭いは彼の下半身辺りから発生している。
煌太にも覚えがある匂いだ。
『何の匂いだっけ?』と煌太が寝ぼけた頭で考えていると、
他の部員も次々と起きだしてきた。
みんな、口々に「臭いな」と言いながら、拓也の周りに集まってきた。
そして、煌太を含めた全員が、その匂いの正体に気付いていた。
彼らは口にこそ出さなかったが、内心でこう叫んでいた。
『こいつ、夢精したな』
やがて、岡野拓也は目を覚ました。
彼は最初、自分の周りに人が集まっていることを不思議に思っていた。
しかし、しばしの時を経ると、匂いと下半身の感触により、彼自身も自分の身に起きたことを理解した。
拓也が起き上がり、脱兎のごとくトイレに駆け込むと、辺りは大爆笑に包まれた。
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