ラグビー部夏合宿

Ⅴ.天国と地獄

 婦長の小松崎純子は、トイレに入ったきり出て来ない高校生のことを気にかけていた。
 虫垂炎だったはずだ。トイレの中で具合が悪くなったのだろうか?
 声をかけてみたいが、あいにく今は他の患者の手が離せない。
 担当の看護師は誰だっけ?北条亜美だ。
 周りを見回すとすぐ近くにいた。声をかける。
「北条さん、坊やがトイレから出て来ないの。みてきてくれない?」
「はい。」
 簡単に亜美は引き受けた。
 しかし、ここで重大な誤解が生じていた。
 男子であれば大学生でも『坊や』と呼ぶのは小松崎の癖であったが、それを配属3ヶ月の亜美は知らなかった。
 さらに、『みて』という言葉も婦長にすれば『様子をみて』という意味のつもりだったが、亜美はそのまま『目で見て』と受け取ってしまった。
 …つまり、トイレを覗いても大丈夫なほどの小さな男の子と理解したのだ。
 亜美は子供が排便中に寝ちゃったのかな?と思いながらトイレに向かう。
 煌太にとっての不運が重なっていた。
 亜美は煌太が外のトイレに向かったのを見ていたが、戻って来るところは見ていない。だから、彼女はトイレの中に煌太が居ると考えなかった。
 悲劇が起きる。

 煌太は昂ぶり始めていた。
 目を瞑り、亜美のことを考えながら右手でしごく。

 亜美は後ろを振り向くとブラジャーをはずす。
 両手で胸を隠したまま、振り返って恥ずかしそうに笑う。

 亜美はトイレに近づくと小窓を軽くコツコツと叩き、
「大丈夫?」
 と声をかけた。

 煌太はもはや発射寸前であった。
 亜美がゆっくりと両手を下にずらす。胸が顕になる。
 胸はブラ付きで見たときよりもさらに大きく見えた。乳頭は綺麗なピンク色だ。
 イケそうだ。腰を少し落として、右手の動きを早める。

 ノックの音と「大丈夫で?」という人の声が聞こえた。
 しかし、そんなことに構っている場合ではなかった。
 左手に持ったトイレットペーパーをナニに近づけて『その時』に備えた。

 亜美は返事が無いのを不審に思った。
 思い切って小窓を開けてみることにした。大便をしているのなら、背を向けて腰かけているはずだ。チンコが目に入ることはないはずだ。
 把手に指をかけてスライドさせてみた。鍵はかかっていない。
 一気に開けて中を覗き込む。

 煌太はイキたいのを我慢していた。
 クライマックスはまだ先だからだ。
 亜美は両手をパンティーにかけて降ろそうとしている。
 パンティーが降ろされてアソコが見えたとき、その時にイクと心に決めていた。
 それまではもう少し辛抱しよう。

 その時、煌太は間近で金属が擦れるような音を聞いた。驚いて思わず目を開く。

 すると煌太の目の前に…『ズリネタ』の顔があった。

 煌太は一瞬頭が混乱する。自分は今、さきほど見かけた看護師を頭の中で思い浮かべている。しかし、その看護師がなぜこんなにはっきり見えるんだ?

 しかし、やがて気づく。目で見えているものは現実だ。
 本物の看護師亜美がトイレの小窓越しにまじまじと煌太のそそり立ったものを眺めているのだ。

 まずい!こんな恥ずかしいところを見られてはいけない。…と煌太は持っていたトイレットペーパーでなにを隠したその時に。
 ドクっと噴出してしまった。

 5日も溜まっていた液体の量は煌太の想定を超えていた。
 また、トイレットペーパーは普段使っているティッシュペーパーとは違って水溶性だ。液体を吸って直ぐに正体を無くしドロドロになってしまった。
 そして丸出しになったそれは、さらにビクビクと動きながら精液を噴出し続けている。

 亜美は暫くの間、何が起こっているのか理解できなかった。
 病院のトイレの中で若い男が下半身丸出しで立っている。
 そしてそのチンコはギンギンの勃起し、ピクリピクリと動きながら、白い液体をドロドロと出し続けている…。
 亜美は唖然とした顔でただただそれを見入っていた。

 精液の噴出が止まった頃になってようやく彼女は理解した。
 高校生の患者がトイレでオナニーして発射したのだ。
 亜美は小窓を閉めると悲鳴をあげた。
「キャー」
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