ラグビー部夏合宿

Ⅶ.エピローグ

 煌太の手術は無事に終了し、翌日から退屈な入院生活が始まりました。
 一度だけ親友の野口一輝が見舞いに来て手術のことをしきりに聞き出そうとしたが、
 煌太は硬く口を閉ざし、決してあの事件のことは話しませんでした。
 看護師の北条亜美は時折、仕事で彼の病室を訪れることもありました。
 煌太にとって亜美の存在は特別です。彼女の顔を見る時、彼の胸には複雑な感情がこみ上げました。
 嬉しくもあり恥ずかしくもあったからです。
 亜美にとっても、身体のすべてのみならず体液までもさらけ出した煌太は、いつしか特別な存在になってました。

 予定通り入院から7日後に煌太は退院しました。
 1ケ月後、秋のインターハイ予選の一回戦で敗れた彼はラグビー部を引退し、受験勉強に専念することとなります。
 虫垂炎発症から手術に至る一連の事件は、彼の人生で一番のエキサイティングな出来事でした。
 もう少し付けだけ加えますが、受験勉強の最中に彼は看護師:北条亜美を相手に童貞を喪失しております。
 これもまた、彼の人生で最高級のエキサイティングな出来事でありましたが、あえて描写は省いて、読者の皆様のご想像にお任せしたいと思います。
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