he said , she said
瞳子の眉はなだらかなアーチ形で丁寧に描かれている。
眉の描き方で、その女性のセンスやメイクの腕はあらかた見えるというのが、直弥の持論だ。

まつ毛やアイラインで、ひたすら目元を強調する女性は多いが、実際のところ整形でもしない限りいちばん手を加えられるパーツは眉だ。
そこをおざなりにしてはいけない。
眉尻はきちんと眉頭はぼかすと、メイクの基本ができている。柔らかなブラウンも彼女の雰囲気によく合っていた。

「代官山に、気になってるインテリアのセレクトショップがあるんですけど、今度行ってみませんか?」

「セレクトショップ、ですか」

またも即答を避けられたが、直弥はひるまなかった。
「瞳子さん、センスがよさそうなので。アドバイスもらいたくて」

「わたしのアドバイスなんて。自分の好きなものを選ぶのが一番いいと思いますよ」
言いながらも、瞳子の目元は優しげだ。

見てるだけでも楽しいですよという直弥の押しに、それ以上しぶることなく承諾したのだ。
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