エリートなあなた
それさえ段々と引きつったものへ変わってしまう。無表情に切り替わった黒岩課長を見れば、怒っているのは間違いなかった。
「理工学部出身らしいね」
「え!?あ、は、はい」
すると今度やって来たのは、これまた想像も出来ない変化球での問い掛け。
“なぜ知っているの?”と、動揺しながらどうにか頷いたものの。ここでも向けられているのはクールな表情だ。
そこでトントン、と彼の指先がデスクを叩く。その音さえ今の私には、ビクビクする材料となる。
「吉川さんって、何のために入社したの?」
「…え、と、」
「遠慮する必要はないよ?」
突然に降って来る問い掛けに耐えきれず、ついに視線を逸らしてしまった。