エリートなあなた
涙の後に
その直後、ようやくオーダーを取れた女将さんの顔はにこやかなものだった。
すぐに運ばれて来たジョッキは4つ。それを掲げたところで、
「かんぱーい!」と、絵美さんの弾んだ声とジョッキのぶつかる音が個室に響き渡った。
手にしたジョッキを傾けるごとに、アルコールが身体の奥へに沁みこんでいく。
「はあー美味いっ!
やっぱり仕事のあとの1杯って言えば、コレよねぇ」
「…オヤジ、」
「アラサーのアンタが言うなっての!」
黄金色のビールに目を輝かせていた絵美さんは、懲りずに隣を鋭く睨んだ。
「うーわ、それ禁句でしょ?――年長者なのに」
「はあ?もう一度言ってみなさいよ?」
少しだけ軽くなったジョッキを置いて、終わりなきバトルに笑ってしまう。