エリートなあなた
「――面白いだろう?」と、その穏やかな声に導かれて視線を移した。
すると今日、最も穏やかな色をしたダークグレイの瞳に捉われる。
途端にドキンドキン、と鼓動が忙しないものへ変わってしまう。
「あの2人、昔からああなんだよな――まったく変わんないよ」
「そ、うなんですね」
「夫婦漫才って言われると怒ってたよ、絵美さんの方がね」
向かいでなおも続いている光景は、まさにその空気を醸し出していた。
楽しそうな彼らを穏やかに見つめる課長から、発作的に視線を逸らした。