エリートなあなた
なんとなく手持ち無沙汰になってジョッキに手を添えたものの、2口目が進まない。
2人が付き合っていなかったと分かっても、…心が晴れない理由がいま分かった。
――彼らを見ている黒岩課長はやっぱり、絵美さんがずっと好きなんだ。
「ちょっと下僕!おかわり!」
「さっすがお姉さま、ピッチはやーい」
早くも1杯目のジョッキを空けた姿を称えながら、店員さんを呼んでいる2人。
「ちょっと修平!」と、今度は対角線上の黒岩課長を睨みつける絵美さん。
「…なんです?」
しれっとした顔つきで聞き返すため、そのクールさが本音を匂わせない。