エリートなあなた
私を捉える眼差しは儚げで、悔やむ姿を否定するため大きく左右へ頭を振った。
「…ち、がいます!ち、がうんです…」
「吉川さん?」
「課長は何も、…悪くなんてありません――私が悪いんです、」
言葉の真意を探るような眼差しを向けられた。それにただ頭を振って見せるだけ。
なんとなく避けられたまま、試作部で過ごして来たこの半年を思い出せば。
ようやく微笑んでくれた今が、どれほど幸せなのかは身に沁みて分かってる。
部下としてダークグレイの瞳を向けて貰えるように、…それだけが心の頼りだったから。