エリートなあなた
「絵美さん?」とにわかに眉根を寄せた課長。その態度にウソは見えない、けれど。
「え、絵美さんが、…好き、なんですよね?」
ここはやはり、私もストレートに聞くべきだと勇気を奮った。
「――ちょっと待った。それ、どこ情報?」
「秘書課内、とか色々?」と、困惑して答えれば、肩を落として嘆息する課長。
「確かに絵美さんはいい先輩だけどな、…あの人はおと、」
「――その続き、言う覚悟ある?」
ワンオクターブ低い声がアスファルトに響く。と、同時にその方へ顔を向けた私たち。