エリートなあなた


ずっと建物の陰から動向を見守っていたという2人に、また割烹の個室へと連行された。



ひとまず注文した分はお会計を済ませて、荷物も預けてのことだから行動力がすごい。



「――これでウワサだって、分かってくれた?」


「…はい、すみません」


「ぜーんぜん、真帆ちゃんは悪くないの!

勝手に勘違いしてた男がぜーんぶ悪いから!」


ダシの香りをくゆらせながら、ぐつぐつと煮えるすっぽん鍋を前にして。



これで何杯目か分からないジョッキを煽る絵美さんは辛辣発言のオンパレードだ。



社内でやりにくくなるのは嫌だから、と付き合っていることを隠していた絵美さんたち。



彼女と大学時代の後輩として、長年付き合いのある課長が親しいのは当然。



それでも美男美女の2人ゆえ、周囲から見れば付き合っていると映ったのだろう。



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