エリートなあなた
しかし、女性からの誘いに困っていた課長と彼女の利害が一致――そしてウワサを放置したとか…。
「まあ良いじゃん。一件落着したし」
「…いや、まだ吉川さんに返事貰ってないけど」
うんうん頷きながら、すっぽん鍋をつつく絵美さん。が、さらり返した黒岩課長の言葉で目を見開いた。
そして一斉に集まった視線の向かう先はもちろん、呑気にすっぽんを食べていた私だ。
「…真帆ちゃん、放置プレイ?」
「うわー、俺もそれ参加させて欲しいんですけど」
「ち、違いますよ…!」
とりあえずお茶碗と箸を置いてみたものの、なんとも居心地が悪い。
返事はおろか何もする前に現れた2人で、すっかり有耶無耶となったのは事実――
チラリと隣に座る課長を窺ってみると、口元を緩ませて微笑んでくれた。
「…好きです、私も」
色々あった疑問が解けた、今だからこそ。今度は私がはっきり伝えなきゃいけないと吐露する。