エリートなあなた
今までの彼氏とは違う、男らしいオトナの香りに鼓動はまた急上昇していた。
“失礼しました”と一礼を重ねて、逃げるようにその小さな部屋をあとにする。
そのドアを閉めれば、今度は鳴り止まない心臓の音がうるさくて仕方ない。
――ウワサ以上に素敵な人なんだ、と課長に恋する女性の気持ちがよく分かった。
ドアをサッと離れて反対側の廊下の壁に背を凭れる――この溜め息の理由を悟られないように。
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