エリートなあなた


確かに言われた通り、これほどすぐに抱かれたのは課長が初めてのことで。



今までに何人かと付き合っていたものの、自分から迫ったコトももちろん初。



「何かね、…とにかく抱かれたいって思ったの――自分から誘ったのは、今でもビックリしてる」



彼に抱きついて“課長が欲しいです”とか、…いま思い出しても赤面ものだ。



「それは真帆が、本気の相手を見つけた証拠でしょ?

今までって、なーんか流されてるっていうの?自分からっていうのがなかったもん」


「…本気、うん、それはそう」


学生時代の恋愛が思い出せないくらい、今はすべてが課長のことでいっぱいで。



どれだけ求められても応えたくて、あんなに乱れたことは初めてだったと思う。



「いいじゃん、大人の初マジ恋愛とか――大変かもしんないけど、頑張りなよ?」


「…うん、ありがと瑞穂」


「それじゃあコーヒーおかわり、」


そう言ってマグカップを差し出す彼女に、呆れ笑いを浮かべてキッチンへ向かった私。



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