エリートなあなた
変わらぬ関係、募る想い
そんなフレーズとは今まで無縁に生活していた私は、一瞬きょとんとしてしまう。
「もちろん社内恋愛は禁止されていないよ?まあ、業務に支障をきたすとなれば話は別だろうけどね…。
一番の理由としては、俺の一存でウチへ真帆を異動させたことにあるから」
「…そう、なんですか?」
別に社内恋愛禁止ではないんだとか、安易な考えを巡らせていた時点で。
お子様すぎる私には到底、課長の思いを汲み取れるわけがなかったね…。
肌を晒した私の肩へシーツをかけてくれたあと、また体勢を元へ戻した彼。
「それでね。その時に“ある条件”が出されていたんだ。
だから付き合っていると会社関係に知られると、多少なりともお互いの立場に…」
「ど、どういうことですか!?」
一気に重みを増した彼の言葉は、幸せ気分をあっさり奪うように、急速に現実へと呼び覚ます。
「これから全部話すから。大丈夫だよ、…な?」
「…うん、」
渦巻き始めた不安を分かっていたのだろう。彼は私の髪を撫でつけるように優しく触れる。