エリートなあなた


右耳を押さえながらおろおろと見るのは、もちろん動揺を誘った犯人だ。



「松岡さん!何してんすか!?」


「え?真帆ちゃんの耳舐めて噛んだだけ、」


「そーじゃなくて!今ここ会社っすよ!」


ちょうど向かい側の席でたくさんの書類に、ペンを走らせていた遠藤さん。



「そんなの知ってるけどー?」


「え、…俺にどうしろと?」


「遠藤って処理能力高いんじゃないのー?」


「…また俺っすか、」


やり取りに呆れて眺めていた中で、必然的に目撃者となったのだろう。無駄に被害が増えている。



さらに私の叫び声で“なんだなんだ?”と、背後も騒がしいものとなってしまった。



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