エリートなあなた
優しさのカタチ


向き合ったPCが映し出すのは、さっき作成した資料の印刷プレビュー表示。



“印刷しますか?”メッセージに、キャンセルをクリックしてファイルを終了させた。



遠藤くんもクライアントとの打合せが入って、あっという間に席から消えていた。



結局、課長は席へ戻って来ていない。…どこかへ出て行ってしまったらしい。



部内の窓から臨む風景は、日の暮れの空とオフィス街のコントラストがあざやかだ。




「――真帆ちゃん、おしおき利いた?」


すると隣から不意に伸びて来た手が髪を撫でた。同時にゆったりした声が響く。



「…松岡さ、ん――申し訳ありません、」


「んんー。俺の方が立派なセクハラなんだけど、忘れてない?」


すっかりしおらしくなった私に、けらけらと笑って今度は肩をポンポンと叩く。



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