エリートなあなた
逆境と成長
またそこで新たに発見したもの。それは私が、勝手に反応に怖がっていただけなのだと。
「フッ…、いまは他人行儀じゃなくて良いのに」
「…ほ、んとに?」
「うん。それでもう着いた?…あれ、騒がしい?まだ出先?」
大通りから一本外れているだけで、割と静かに感じる辺り一帯だけれど。
やっぱり車の往来は多いため、それが電話を通して届いたのだろう。
「え、と…到着はしているんです、けど」
「――けど?」
レシーバーから聞こえる、課長の声が心地良い。それだけで、じわりじわり嬉しさが心へ沁みていく。
「その、…私がひとりでお邪魔してて、本当に良いのかと、」
「――ハハハ!」
たどたどしく尋ねたところ、一拍置いて届いた軽快な笑い声にこちらが動揺する。
「え、と…変なこと言いました?」
「うん、」と短く肯定するとまだ笑っている課長に、もっと恥ずかしさが立ち込めていく。