エリートなあなた
ちなみに今日のご飯は21時すぎての食事になるから、大根おろしで消化が良くてあたたまるみぞれ鍋。
野菜もたくさん食べられるし、何より日本酒好きの彼は和食好きだろうと思ったのだ。
あとは鍋を煮込んでいる間に作った、野菜の肉巻きや長芋とオクラの和え物を一緒に。
ダイニングテーブルへ準備して並べ終えたところで、ポケットに入れていた携帯が着信を告げた。
「も、しもし?」
「あ、真帆?悪いけどオートロック解除してくれる?」
緊張で少しだけ上擦ってしまったのは、もちろん電話の主が黒岩課長だったから。
「着いたんですか!?」
「うん、」と短い答えが返って来たけれど、その声は弾んでいるように聞こえた。
「いま開けますね!」
「よろしく」の言葉で電話を終えると、さっそくオートロックを解除する。
そしてレザーのキーケースを手にして、ジャケットを羽織ると急いで玄関へ向かった。