エリートなあなた


「…ふぅ、…んっ、」


玄関フロアの静寂の中で響くのは、鼻にかかった頼りない私の声と瑞々しい音。



何度も角度を変えつつ続く口づけで蕩けそうになり、もう思考はシャットダウン。



いつしか顎先から私の両頬へ移り変わった手のひらに、頬の熱が伝わっているだろう。

 

持ちあわせていたはずのテクニックなど、ことごとく唇と舌で塗りつぶされていく。



酸素が欲しいと思っているはずなのに、…だけれど甘いこの時を止めないで欲しい。



彼の唇が隠れていた私の本能をあっさりと引き出すから、吐息と声が漏れてしまう…。



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