エリートなあなた


やっぱり彼氏に食べてもらう時は、家庭のそれぞれの味やこの身があるから心配。



このお鍋だって何度も味見を繰り返したら、最後には味がよく分からなり不安になっていたのだ。


「いじわる、」


とりあえず受け入れて貰えたことにホッとして、私も自分のお皿の中身をぱくぱく食べ始めた。



大根おろしがスープの味をまろやかにするから、こんな時間に食べても食がどんどん進む。



「細いのによく食べる、って言われない?」


「まあ、食いしん坊って言われます。それも、私より食べる親友に」


「ハハッ!健康的でいいじゃん」


そんな私を呼ぶイタズラな声に、チラリと上目で様子を窺っては戻すの繰り返しだ。



「…あの、あんまりジロジロ見られると食べづらい、」


「――だって真帆の心配する顔、可愛いんだもん」


「だ…、だもん、って」


鍋の具の豚肉を口へ入れる直前、あまりにサラッと言われてお皿へ豚肉がダイブ。



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