エリートなあなた
といはいえ、イタズラ好きな心根の優しい人だから素直に従ってしまうのだろう。
カウントダウンする彼のお陰で過ごせた、修平さんとの幸福感で満たされた一夜。
あの日から早くも1ヶ月が過ぎ、今日もまた変わらない日常を送っていた。
第3四半期を過ぎてもバタバタの中、密かに会える時間などなくまさに仕事一直線だ。
最近では松岡さんのアシスタントというより、私が主体で任せて貰う機会も増えていた。
「忘れものないね?はい行くよー」
「はーい!」とここは威勢よく。でないと、松岡さんから檄が飛んでくるため。
彼と2人でオフィスを出てタクシーで向かうのは、以前依頼の入った医療機器メーカーである。
例のネジのサンプル品について、発生した弱点を克服することに力を注いだこの1ヶ月。
いよいよツメの段階に突入し、気が抜けないとはいえ内心ホッとしている心境だ。